
アジア太平洋戦争の敗戦直後の1945年の暮れ。八戸キャンプホーゲンの占領軍〈ワイルドキャット部隊〉の米兵エディが見た町の姿と自分の1年半の戦争私記をカリフォルニアの故郷の人々に伝えた手紙。そこから始まるライフストーリーは、八戸と弘前のジャズな人々の戦後生活史を、そして私たちの今をも照らし出す。朝鮮戦争、ベトナム戦争というアメリカの戦争の背後で、「アメリカの音楽」に魅せられた青森のジャズな人々は、台湾・高雄のジャズな子供にもトランスローカルに繋がり、響きあう。青森の、日本の、そしてアジアの今までとこれからのジャズの歴史社会学の試み。 単一方向のジャズのグローバル化、フランチャイズ化とは異なる、自律した複数の世界の関係性としてのジャズを改めて考えるための待望の書。
Biography
ー 略歴 ー
木村行成(きむらゆきなり)
1956年秋田県生まれ。
一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。
フリーランスの歴史社会学研究者。
1964年秋の彼岸の夜、「秋北バス」運転手が
つけたラジオが車内にあの弱起拍とイントロを鳴り響かせた
ビートルズ〈プリーズ・プリーズ・ミー〉から始まって、
その後ゴードン・ライトフット、ジョニ・ミッチェル、
ニール・ヤング(この3人はカナダ人)それと
高校時代からのジャズとの歴史は半世紀以上。
カルトーラとジョアン・ジルベルトとイヴァン・リンスを聴いて
ブラジル人の音楽との歴史も半世紀。
こうして好きなものに出会い、聴いてきた。